彼の作成した資料のタイトルは、単刀直入に「国益、金、エゴの果たす役割」と銘打たれている。彼の弁に従えば、この“国益、金、エゴ”の三要素すべてが、地球規模の監視を独占しつづけようとするアメリカの大きな動機になっているのだそうだ。〈文書86〉(非機密//私用禁止)そのとおり……金、国益、エゴ--これらすべてを組み合わせることは、すなわち世界を大規模に形作ることになる。
世界のどの国も……自国のために世界をよりよい場所にしたいと考えている。
ここでは、インターネットの支配によって、アメリカに大きな権力と影響力が与えられているばかりか、莫大な利益も生み出されていることが語られている>(250~25ページ)
ジョージ・オーウェルが『1984』、イスマイル・カダレが『夢宮殿』で描いた、「国民のすべてを監視したい」という欲望が、インターネットというテクノロジーによって実現しつつある。しかし、その動機は、「エゴ、金、国益」のアマルガム(合金)だ。