【佐藤優の地球を斬る】
英紙ガーディアンの元コラムニスト、グレン・グリーンワルド氏の著作『No Place to Hide(隠れ場所はない)』(邦訳『暴露――スノーデンが私に託したファイル』新潮社)が5月14日に世界同時販売された。
NSA(米国家安全保障局)などによるシギント(電話、電子メールなどを含む通信を用いたインテリジェンス)工作に関する大量の資料を持ち出した元CIA(米中央情報局)職員のエドワード・スノーデン氏(現在、ロシアに一時亡命中)が、グリーンワルド氏に託した極秘情報が本書で披露されている。通常では知ることができないインテリジェンスの「奥の院」について伝える貴重な資料だ。
「インテリジェンスに友好国なし」という諜報の大原則をスノーデン氏が実証した。興味深いのは、NSAが巨大な秘密監視システムを構築した意図だ。NSA幹部の書いたメモに関する以下の記述が興味深い。
国益、金、エゴ
<NSA内の一部では、この大規模な秘密監視システムを構築することの真の目的がきわめて率直に語られている。複数の諜報機関の職員のためにつくられた、あるパワーポイントのプレゼンテーション資料には、「インターネットを支配する国際的な基準をつくることができれば、“遮られることのない視野”を得られる」と書かれている。この資料を執筆したのは科学技術を担当するNSAの信号情報国家情報官で、“経験豊富な科学者にしてハッカー”を自任している。