「スタンド・バイ・ミー」(1986年、ロブ・ライナー監督)で大ブレーク後、数々の人気作品に出演しながらも、23歳で急逝した俳優のリバー・フェニックス(1970~93年)の幻の遺作「ダーク・ブラッド」が公開中の東京・ユーロスペースほか、全国で順次公開される。
本作の撮影中にフェニックスさんが死亡したため、作品は未完成のままとなっていた。2007年、余命を宣告されたオランダのジョルジュ・シュルイツァー監督(81)は「自分が生きているうちに、これほど才能に恵まれた俳優の姿をなんとか世の中に送り出したい」と決意し、キャリア最後の作品として編集作業を再開した。主人公とヒロインのラブシーンなど作品の根幹に触れる部分は、映像が残されていなかったため、監督自身がナレーションを担当し、作品の進行や登場人物の感情表現の説明を行った。作品は12年に完成し、この年のオランダ映画祭で初公開された。
舞台は米南西部の砂漠地帯。かつて白人がネーティブアメリカンを迫害し、核実験を繰り返してきた場所だ。主人公のボーイ(フェニックス)はネーティブアメリカンの血を引く青年。妻を亡くした後、世界の終わりを信じながら、社会との関係を断っていたが、ある日、倦怠期を迎えた俳優夫婦がハリウッドからやってきて、無人の荒野で故障した車の修理を頼まれ…。
東京・ユーロスペースでは、5月3日から「アメリカンレガシー」、5月17日から「マイ・プライベート・アイダホ」の出演作2本も特別上映される。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)