このコラムで僕が前回ご紹介したアーティストは、ホセ・ジェームス。彼のバンドでドラムを担当しているリチャード・スペイヴンがプロデュースした女性ボーカリストの日本盤がリリースされる。その名はルス・コレヴァ。資料によるとブルガリア出身で、幼少の頃からアスリートの父に帯同し、世界を旅する中でミュージシャンを志すようになったという。
2012年には最年少でブルガリアの音楽賞を受賞。ボビー・マクファーリンとコラボレーションを果たし、スティービー・ワンダーの前座を務めるなどしてキャリアを重ねてきた。なんとビヨンセのマネジャーも大絶賛するという才能の持ち主で、DJの間でも去年リリースされたシングルが発売直後から話題になっていた。
ブルガリアから生まれた才能
その音楽性は、エリカ・バドゥ系のR&Bに、アンビエントミュージックやブロークンビーツ(変則リズムを導入したイギリスで一世を風靡したダンスミュージック)を組み合わせたスローかつ先鋭的なモダンソウル。透明感あふれる歌声がハイセンスなドラムサウンドや近未来的なキーボードの上で浮遊するように積み重なり、独特な世界が構築されている。黒人音楽の影響を受けながらも、ヨーロッパ特有の繊細な歌唱法が相まったクロスオーバー感覚は、音楽をインテリアのように楽しむ高感度なリスナーに受け入れられるに違いない。