昨年(2013年)のグラミー賞受賞者ロバート・グラスパー、そして今年のグラミー賞受賞者グレゴリー・ポーターとともに、ジャズの名門レーベル「ブルーノート」を代表する若手アーティストの一人、ホセ・ジェイムズ。彼が1年ぶりの来日公演を行った。ホセは、世界的にその名を知られるクラブジャズDJ、ジャイルス・ピーターソンに見いだされ、彼が運営するインディーズレコード会社「ブラウンズウッド」からデビューしたジャズボーカリスト。ファーストアルバムでは、名曲「チュニジアの夜」をカバーするなど往年のジャズファンにもアピールする本格派志向であったが、一昨年ブルーノートに移籍後はR&Bやソウルの影響を取り入れ、新しい時代のジャズアーティストとして一気に認知を高めた。
心憎い演出の数々
今回の来日は、そのブルーノート盤「ノー・ビギニング・ノー・エンド」発売後、1年間にわたったツアーの最終公演。オープニングアクトとして筆者もDJプレーを行ったが、一番驚いたのは、ステージの劇的な構成力の向上だ。ホセのボーカルの素晴らしさはもちろんのこと、MC、曲順、アンコールを含めた流れと間合いといった練りに練られたショーの完成度の高さに舌を巻いた。