どこでも行けるようになった現代ですが、誰も行ったことがない場所を目指すという冒険ほど、ロマンがあるものはありません。アメリカ海域へ初めて到達したコロンブスしかり、まだ見ぬ景色と出合った時はどんな感動があったのか。本日は、標高8000メートル以上の巨峰が14座ある、ヒマラヤ山脈のアンナプルナにご案内致します。
1950年6月3日、人類は初めて8000メートル峰登頂に成功します。それが、アンナプルナです。『処女峰アンナプルナ』(山と渓谷社、1050円)は、当時のフランス登山隊の隊長、モーリス・エルゾーグによる、登山者必読の不朽の名著です。
彼らはモンスーンが襲来する前の短期間に、ただ1回で登頂に成功しましたが、山はそんなに甘くありません。下山中に嵐につかまり、隊員たちは生死の境をさまようことになるのです。生還に向けての軌跡に息つく暇もありません。冒険の終わりに見て、感じたものとは。最後の1行が脳裏から離れずに、余韻と一緒に残ります。(“旅の本屋”BOOK246/SANKEI EXPRESS)