東日本大震災の津波で破壊され、被災の記憶や教訓を伝える「震災遺構」が岩手、宮城、福島3県の13市町村で24件あり、このうち8市町村の16件で保存が決定したか、保存の方向で検討していることが3月6日、産経新聞の調査で分かった。保存の理由として自治体の大半は「震災を語り継ぎ、防災意識を醸成するため」としている。
産経新聞は2月中旬、被災3県の沿岸37市町村にアンケート形式で(1)震災遺構はあるか(2)遺構があればどうするのか-を聞いた。
「ある」と答えたのは岩手県が宮古、大船渡、陸前高田、大槌、田野畑の5市町村11件▽宮城県が仙台、塩釜、岩沼、東松島、南三陸、山元、女川の7市町12件▽福島県が浪江町1件。
うち宮古の「たろう観光ホテル」や陸前高田の「奇跡の一本松」、塩釜の「寒風沢の津波石」など3市8件の保存が決定。大船渡の「茶々丸パークの時計塔」や大槌の「旧役場庁舎」、田野畑の「三陸鉄道島越(しまのこし)駅の階段と宮沢賢治詩碑」、女川の「旧女川交番」など5市町村8件が保存の方向で検討されている。
解体が決まったのは、女川の「江島共済会館」「女川サプリメント」、南三陸の「防災対策庁舎」の2町3件だった。解体の理由について「復興事業の支障となるため」としている。