ソチ五輪がフィナーレを迎えました。感動的な名場面とともに印象的な名フレーズもたくさん飛び出しましたが、残念な形で話題になったのが、森喜朗(もり・よしろう)元総理の「あの娘は肝心な時にいつも転ぶね」という、浅田真央(まお)選手のショートプログラムの失敗を受けての一言。どこかの講演会で発した言葉ですから、おそらく毒舌で受けを狙ったんでしょうが、残念ながらリアルに「すべった」のは森元総理のようです。
笑いのプロでもないのに毒舌で受けようとすると、ろくなことにならないことに、まだ気づかない人が多いようで、わが社でも結婚披露宴のスピーチで笑えぬ毒舌を試みて、ただの悪口になり、最悪の空気になる場面を何度も見ました。
ビートたけしさんを例に出すまでもなく毒舌には芸が必要ですが、実はその人が生まれもった声質が大きな要素をしめているらしいんです。尺八名人であり、横浜国大の理工卒業の中村明一さん著「倍音」によると、音色を構成する周波数「倍音」には規則的な倍数で振動する「整数次倍音」と不規則な倍数で振動する「非整数次倍音」があり、それは人の声質にも含まれる要素で、聴衆は無意識に聴き分けて、違う反応をするらしいのです。