ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子で、前回のバンクーバー大会に続いて8位入賞を果たした鈴木明子(28)=邦和スポーツランド。22年間のスケート人生のすべてをぶつけて2月20日、フリーを滑り切った。
両足の指に痛みを抱えていた。「ずっと足が不安な中で、靴を履けず、滑れない時もあったけど、氷に立ったら痛みがなくなった」
演目はミュージカル「オペラ座の怪人」。本番会場に足を踏み入れる際、長久保裕(ながくぼ・ひろし)コーチ(67)から「ここは劇場だから(ヒロインを見守る)ファントム(怪人)も見ているよ」と優しく声を掛けられた。3回転ジャンプで転倒し、着氷の乱れもあったが、情感たっぷりに滑りきり「ほっとした」と胸をなで下ろした。
演技終盤の音楽は、ファントムがヒロインに歌唱指導をする場面。鈴木は「ファントムみたい」と感謝する恩師2人に、このパートをささげた。一人はジャンプという「武器」を授けてくれた長久保コーチだった。