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自分たちで選ぶライブラリー 幅允孝 (4/5ページ)

2014.2.12 19:55

愛知県立芸術大学でのワークショップで、本棚作りに励む学生たち=2014年1月21日(愛知県立芸術大学提供)

愛知県立芸術大学でのワークショップで、本棚作りに励む学生たち=2014年1月21日(愛知県立芸術大学提供)【拡大】

  • 【本の話をしよう】ブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)さん(山下亮一さん撮影、提供写真)

 まずは班の中で自分が人に薦めたい1冊をプレゼンテーションする。人が誰かに物を薦める動機の源泉は、自身の内から探すべきだからだ。ある学生は小説を、ある学生は自然科学の本を皆に紹介している。ここから共通項を見いだし、班としての1つのテーマに到達できるのだろうか? 不安もよぎりながら議論は続く。だが、みな自身の好きな本だから、その本のどの側面を推したいのか? どういう風に捉えているのか?というレベルの対話ができている。なんとか、それぞれの班は、ライブラリー in ライブラリーにおける本棚のテーマづくりに成功したようだ。

 第1班は「かたち」をテーマにした本棚。第2班は「記憶」をテーマにした本棚。第3班は「新世界」をテーマにした本棚。従来ある分類法にはないけれど、さまざまなジャンルの本が交錯しうる楽しげなテーマだ。あとは、図書館の中を探検し、そのテーマに似つかわしい本を探すだけだ。普段は見向きもしない本、開いたことのない本、さまざまな未知がそこにはある。その中から何冊かを読んでみて、思い切って選び取り、自分たちのつくった本棚にならべる。本棚を再編集する作業だ。

 いちどスイッチを入れてしまったら、学生たちはすごい集中力で本の狩りを遂行した。「うちの図書館にこんな本があったんですね」なんて言いながら、テーマに沿った本を探し出し、どの本の隣に並べればその本が映えるのかを真剣に悩む。本棚の雄弁性を考えながら、どの本のカバーをフェースアウトするのか議論し、必要を感じたら、本のレコメンド文も書く。本棚のテーマを知らせるサイン計画も重要だ。人が歩く導線を考慮しながら、どの場所にどんなサイズのサインを掲出するのかも重要だ。最後まで脇を締めて、丁寧に本を差し出すように。

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