市場不安はトルコの政情不安による、との見方が市場アナリストの間で多い。確かに盤石に見えたエルドアン政権は最近、イスラムの支持勢力で仲間割れが起き、側近の汚職騒ぎなどで揺さぶられている。しかし、年末年始に現地を回ってみたら、世情は安定しており、人々は勤勉そのものだ。政局は国際投機筋の「売り逃げ」の口実にすぎない。その証拠に、トルコに限らず、株や通貨の不安は新興国全体に及んでいる。政情が比較的安定しているインドネシアもトルコに連動する形で株価が下落している。
ニューヨーク・ウォール街やロンドン・シティに拠点を持つ投資ファンドはグローバルな資産運用を行い、米国市場がだめなら新興国での運用比率を引き上げるが、米市場が回復してくれば、さっさと手じまいする。「新興国ブーム」はいわば、ドルの洪水に浮かぶ「バブル(泡)」だったのだ。
消費・生産に回らないカネ
アベノミクスの日本も株高で浮かれてはいられない。米欧の投資ファンドを中心にした外国投資家は「円安=日本株買い」という自動売買プログラムを稼働させるので、株高が導き出される。外国投資家の投機に左右される点では、東京市場もイスタンブール市場も同じなのだ。