米グーグルなどのIT企業がサンフランシスコ市で社員の通勤のために運行している無料シャトルバスが、「格差社会」の象徴として標的にされている。市内に古くから住む地域住民らは、近郊のシリコンバレーに通勤する高級取りのIT企業社員が市内に流入した結果、家賃などの物価高騰を招いたと猛反発。バスの運行を妨害する抗議行動を起こした。事態を重く見た市当局は、バスが停留所に停車するごとに料金を徴収する規制案を打ち出すなど、不満の解消に躍起となっている。
「社員用バスは目に見える経済的不平等であり、(地域住民の)欲求不満発散のための便利な存在と化している」
市のベイエリア都市政策機構のガブリエル・メトカーフ常任理事は、過激な抗議行動を危惧している。
冷静な対応呼びかけ
米メディアの報道によると、標的となっているのは、グーグルが市内から近郊のシリコンバレーにある職場まで社員を運ぶために運行している32台のシャトルバスだ。全米最悪といわれる交通渋滞のなか、優雅に通勤するエリート社員たちへのやっかみが爆発。昨年(2013年)12月に市民や活動家がバスを約30分間取り囲み抗議する事態となった。ほかにもバスの窓ガラスが割られるなどの小競り合いが起きているという。