さらにガイドとは別に、ジオを生かした地域の取り組みを立案する約70人の「ジオパークマスター」が活動する。室戸ジオパークの柴田伊廣(ただひろ)地質専門員(32)は、「住民に組織を変えようとする力がある。今後の課題はビジネスを強調しすぎずに経済活動をすること」と話す。
火山と人間の共生
また、1991年、大規模火砕流によって多くの人が犠牲になった雲仙普賢岳を擁する島原半島ジオパークは、火山と人間の共生をテーマにする。普賢岳は「雲仙大変肥後迷惑」と語り継がれる江戸寛政年間の噴火など過去に計3回の大噴火を起こした。にもかかわらず、人々が島原半島に住み続けるのはなぜか。ジオツアーでは、火山との闘いだけでなく、島原手延べそうめんをはじめとする特産品や温泉、湧水などの火山の恵みを紹介し、ツアー参加者にその答えを探してもらう工夫をしている。島原ジオパークの大野希一(まれかず)地質専門員(44)は、「島原半島だけの問題ではなく、これだけ自然災害の多い日本に日本人が住み続ける理由の発見にもつながる」と話す。