【佐藤優の地球を斬る】
南スーダンは2011年7月に独立した新しい国家だ。この国家が成立した背景には、米国と中国の「グレート・ゲーム」がある。南スーダンには大量の石油が埋蔵されている。中国がこれに目をつけて、本格的な開発に着手しようとしていた。この石油開発が成功すると、アフリカにおける中国の政治的、経済的影響力が格段に高まる。それと同時に、オイルマネーがアルカーイダなどの国際テロ組織に流出する危険性がある。中国と国際テロ組織を封じ込めるために、米国のオバマ政権はかなり無理な手法を用いて南スーダンをスーダンから独立させた。
南スーダンの独立と石油権益を擁護することは、米国の同盟国である日本と韓国の国益にもかなう。だから、日本も韓国も南スーダンにおける国連平和維持活動(PKO)に参加しているのだ。
その南スーダンで、武装勢力の襲撃によって治安が悪化し、国連と韓国の要請を受け、PKOに参加している陸上自衛隊部隊が12月23日、銃弾1万発を現地の韓国軍に無償で提供した。
<国連と韓国から「防護のための銃弾が不足している」との要請が22日にあった。これを受け、安倍晋三首相は23日、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合と9大臣会合を招集して対応を協議し、持ち回り閣議で提供を決定した。