キール氏は、マシャール氏らが反発して「クーデター未遂」を起こしたと糾弾している。
SPLAや、その上部組織の与党「スーダン人民解放運動」(SPLM)には、独自の言語や文化を持つ数十の黒人系民族が参加しているとされる。
南スーダンの石油産出量は、旧スーダン全体の約8割を占め、独立当初は原油収入への期待は大きかった。しかし、スーダンのパイプラインを経由しないと石油を輸出できない。
このため、両国はパイプライン使用料で対立し、昨年3月には武力衝突に至った。両国は境界付近の油田地帯の帰属も争っており、関係が一向に改善しない中、南スーダンの経済は低迷したままだ。
南北スーダン問題に詳しいエジプト人研究者は、統治基盤が脆弱(ぜいじゃく)な南スーダンは「建国の大義とキール氏の指導力でかろうじてまとまっていただけだ」と指摘。今後も民族間の権力闘争はくすぶり続けるとの見方を示している。
このまま戦闘が拡大すれば、情勢はさらに悪化し、再び内戦に逆戻りする可能性もある。(SANKEI EXPRESS)