【パラリンピアン・ライフ】
「ここは本当に日本なんだろうか」。不思議な感覚を抱いたまま、頭上に掲げた両手をたたき、観客の皆さんに手拍子を求めていました。
10月13日。国体と障害者の全国大会を一体化した「スポーツ祭東京」に出場しました。会場は東京都調布市の「味の素スタジアム」。女子走り幅跳びが行われた競技場の一角には、大勢の報道陣や関係者をはじめ、一般の方々も観戦に駆けつけてくれました。
「真海(まみ)ちゃーん!」。観客席からも応援の声が聞こえました。着地点となる砂場の奥からは、数え切れないほどのテレビカメラのレンズが向けられ、取材の記者は100人を超えたそうです。
競技を始めて11年目になりますが、国内の会場でこんな光景は目にしたことがありません。パラリンピアンの大会に多くの観客が駆けつける海外の大会を、いつもうらやましい気持ちで眺めてきました。
まさに新風が吹き込んでいる感覚でした。「この日は、もしかすると日本のパラリンピック界にとって歴史に残る1ページになるかもしれない」。だからこそ、私は観客の応援に後押しを求め、国内の大会で初めて手拍子を誘ったのでした。