≪大規模な選挙違反 「病巣の中枢へ一気に網」≫
過去に例がないほど大規模な組織的選挙違反を暴いた東京地検特捜部による今回の捜査は、従来の選挙違反事件のように組織の末端を切除するのではなく、組織の頂点にメスを入れた点で画期的な意義がある。
「この捜査は病巣の中枢へ一気に網をかけなければまったく意味がない」。ある検事は内偵捜査初期の段階で、徳洲会(とくしゅうかい)幹部の1人にこう説いて捜査への協力を求めたという。
公職選挙法違反は選挙の投票終了とともに警察が取り締まりに乗り出すのが通例だ。違反をした末端の運動員を逮捕して、誰に指示されたかを追及し、組織の上層へと向かう「突き上げ型」の捜査をする。
だが、途中で壁に突き当たり、上層部まで手が届かないまま「選挙違反取締本部」の看板が降ろされることが多い。徳洲会元幹部は「これまで違反に手を染めた職員を逃亡させたり、中堅幹部が罪を被ったりして、上への追及を食い止めてきた」と証言している。