「ロシアの声」は国営放送なのでロシア政府の方針に反する論評は行わない。ロシア外務省は、日露の「2プラス2」が対中牽制(けんせい)を目的とするものではないと強調しているが、本音では、日露提携が対中カードの1枚であることをパブリャチェンコ氏は示唆している。
同時に日露提携の天井について、ロシアの声は<ロシアには中国との戦略パートナーシップが存在する。ロシアと日本にはそのような土台は存在していない。ただ、ロシア側はアジア太平洋地域における相互理解と信頼醸成に向けた文脈のなかで、露日の新しい交渉形式に意味を見出している。
一方でパブリャチェンコ氏は、日本による領有権主張自体が、ロシアとの信頼関係構築の可能性を否定している、と指摘している>と報じた。
遅延戦術阻止できず
要するに北方領土問題を棚上げして、アジア太平洋諸国との信頼関係を強化するシステムを作ることがロシアの国益に合致するとパブリャチェンコ氏は述べているのだ。このような状況で、日本外務省は、北方領土交渉についてどのような戦略を持っているのだろうか。