とはいえ、イスラム系米国人で女性という少数派の典型のようなヒーローは初めてだ。アマナットさんは「反イスラム派だけでなく、イスラム教徒からも否定的意見が出てくることになりそうだ」と指摘し、米社会で一定の摩擦が起きる可能性を示唆。
ウィルソンさんは「イスラム教を伝道しようという意図はない。私にとっては主人公が信仰との間で抱える葛藤を描くことが大切」と話す。
米社会ではイスラム系の若い世代が着実に増えている。その心情を映したヒーロー漫画は、必然的に米社会の「いま」を映す鏡にもなるはずだ。(SANKEI EXPRESS)
■米国のヒーロー漫画 米国の漫画市場では、1934年設立のDCコミックと39年設立のマーベルコミックスがしのぎを削りながら、ヒーロー漫画を軸に市場を開拓してきた。DCは「スーパーマン」や「バットマン」「グリーンランタン」、マーベルは「スパイダーマン」や「アイアンマン」「X-メン」など次々とスーパーヒーローを生み出した。これらはハリウッドで実写映画化され、全世界で大ヒットを記録した。最近は米国の世相に合わせ、非白人や女性ヒーローを増やしているほか、欧米での同性婚ブームを受け、昨年5月の「X-メン」では男性ミュータント同士の同性婚が描かれ、話題となった。