ただ、アラスカの先住民にも言い分がある。サケを生活の糧としてきたのはカナダと同じなのに、アラスカ州政府は不漁を理由に先住民による漁も一律に制限している。
摘発されたアラスカ先住民の代理人の弁護士ジェームズ・デービスは「米国ではカナダほど先住民の権利が尊重されていない。白人が来る前から続けてきた暮らしを守ろうとしている彼らを、一律に処罰するのはおかしい」と訴える。
キングサーモンが減った原因はほかにもあるとみられている。カナダ政府でサケの資源管理を担当する漁業海洋局ユーコン地域部長スティーブ・ゴッチ(37)によると、ベーリング海のスケトウダラの底引き網漁でキングサーモンが混獲されることや、海流など海洋環境の変化でキングサーモンの餌となる小魚や甲殻類が減ったことも影響している。
ゴッチは「先住民のいらだちは理解できるが、原因を突き止めるには時間がかかる」と言う。