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深刻なサケ不漁 伝統脅かされる先住民 カナダ ユーコン川 (2/4ページ)

2013.11.4 16:00

  • カナダ・ユーコン準州

 キングサーモンが遡上する7~8月、スミスが住むホワイトホース近郊の集落ターンクワチャンでは、20年ほど前まで数十人が川に網を入れていた。だが、漁獲数は1990年代に減り始め、昨年までの3年間は85~95年の平均の半分以下に。

 ここ数年はユーコン川全域でキングサーモンの商業捕獲は禁止された。現在カナダでは先住民だけが捕獲を認められているが、回復の兆しは見えない。ターンクワチャンで食料用のサケ漁をするのは3年前からスミスだけになってしまった。

 ユーコン準州から米アラスカ州を経てベーリング海に注ぐユーコン川は、全長3000キロ以上。キングサーモンは孵化(ふか)した後、1~2年間を川で、約4年間を海で過ごし、再び産卵のため2カ月ほどかけて川をさかのぼる。サケがこれほど長い距離を移動する川は世界でも極めて珍しいという。

 スミスは「不漁は下流の連中が捕りすぎたためだ」と悔しそうに話す。

 対立する言い分

 ユーコン川下流域にあたるアラスカでのサケ乱獲は長年批判されてきた。ユーコン川では目立たなくなったが、他の川ではアラスカ先住民が規則違反の大きな網を使うケースは増加傾向にある。アラスカ州では昨年、こうした漁業規則違反で罰金刑を受けた先住民が過去最高の60人に上った。

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