1審公判で、薄被告は事件の背後に“陰謀”があると指摘。いわば権力闘争の犠牲者を最後まで演じきった。文化大革命後、「四人組裁判」で、毛沢東夫人の江青が「政治裁判だ」と批判し、法廷内で嘲笑する言動をとった事例にならったとみる政治学者もいる。
江青は1981年の死刑判決時に「造反有理、革命無罪」と叫んだが、25日の判決は中央テレビでも一部分しか放映されず、薄被告が法廷内で発言したかどうかは伝えられなかった。
一方、重慶などでは「共同富裕」の名の下に貧富の格差是正に力を発揮した薄被告を熱烈に支援する住民が多数存在する。保守派(左派)の元政府幹部らも、判決見直しを求める書簡をネットに公開するなど、習指導部の権力基盤を揺るがしかねない動きもみせる。
香港紙によると、薄被告は、「私は父を倣うことになる」と親族にあてた手紙に書いたという。父親は国共内戦や文革時に投獄されたが、晩年は復権して保守派長老として権力を握った薄一波元副首相。薄被告も父親と同じ北京の「秦城監獄」に収監される見込みだが、最短で服役7年後には重病治療を理由に塀の外に出られる可能性がある。