力の均衡によって成立
21世紀の現在、書店に並んでいる反米本の基本認識もこれと同じ内容だ。
樋口麗陽は、1990年代末に日米戦争が勃発するとの想定でこの小説を書いた。日本海軍は対米戦争に勝利するためには緒戦でハワイの米太平洋艦隊を殲滅(せんめつ)する必要があると考え、遠征するが、逆に米軍の新兵器「空中魚雷」(巡航ミサイル)によって全滅させられてしまう。大本営では、真相を発表すべきか、国民の士気が下がる恐れがあるので情報を隠蔽した方がよいかについて激論の上、国民を信頼し、真相を発表した。すると国民はパニックに陥り、収拾がつかなくなる。米国は朝鮮の日本からの分離独立運動や中国の反日運動を支援。また、米国内の日系人が本国と通じて反乱を起こすのを防止するために、日系人を砂漠地帯に強制収容する計画を立てる。実際に太平洋戦争で起きることを樋口麗陽は予言している。最終的に日本はメキシコ、ブラジル、ドイツ、ロシアの支援を得て、米国と無併合・無賠償の平和条約を締結し、戦争は引き分けに終わる。