このような危険に警鐘を鳴らす目的で、筆者は大正時代にベストセラーとなった樋口麗陽の『小説・日米戦争未来記』=初版1920(大正11)年=を現代語に超訳し、『超訳・小説日米戦争』(K&Kプレス)と改題して上梓(じょうし)した。
1918年に第一次世界大戦が終結した後、日本の論壇で反米ブームが起きた。<平和主義だのデモクラシーだの、そんなものはアメリカの本音ではない。アメリカは真正の正義人道主義を奉じるものではない。その言っていることと腹のドン底とは多大な相違があるどころか全然違っている。アメリカは敵を作り出さずにはいられない国で、デモクラシーの宣伝、正義・人道主義を看板として世界の国々をあざむき、その実、アメリカ一流の資本による侵略、経済的支配をもって世界を思うように操り、新興国・日本の鼻の先をへし折るか、抑えこんでアジア大陸の経済的利権を手に入れて、世界の資本的盟主、経済的専制君主となることを目的としているのだ>(『超訳・小説日米戦争』12ページ)。