米国を代表する経済学者で、ハーバード大学長や財務長官など華麗な経歴を積み重ねてきたサマーズ氏が集大成として望んだポストが、世界経済に多大な影響力を持つFRBの議長職だった。サマーズ氏がいまなお強い影響力を持つ米財務省の関係者は「サマーズ氏の後半生のキャリアを飾る最後のピースになるだろう」と指摘していた。
サマーズ氏自身も水面下で盛んに動き回っていた。現在2期目のベン・バーナンキFRB議長(59)が「3期目は望まない」との意向を示したと米メディアが報じたのは昨秋。くしくもほぼ時を同じくして、サマーズ氏が後任に意欲を示しているとの報道が流れた。
目前だった大願成就
実際、私が耳にした限りでも、サマーズ氏は財務省時代の上司のロバート・ルービン元財務長官(75)や部下だったティモシー・ガイトナー前財務長官(52)に接触し、しきりにホワイトハウスにアプローチをかけている。サマーズ氏はオバマ政権1期目は国家経済会議(NEC)の委員長として金融危機からの脱却を支え、大統領には「恩」も高く売ってあった。そのかいあって大統領もサマーズ氏指名に傾き、大願成就はもはや目前と思われた。