【国際政治経済学入門】
ワシントンでは先週、米中戦略・経済対話が開かれた。中国の不動産バブルや過剰生産の元凶視される「影の銀行」問題が焦点になったと報じられたが、皮相的すぎる。筆者が着目したのは、米連邦準備制度理事会(FRB)がめざしている量的緩和(QE)の縮小について、中国側が「時期尚早」と待ったをかけた点である。
何しろ、中国はこれまで公式的には、FRBがドル資金を大量発行するQEに対し、新興国への投機を助長するとして強く反発していたのに、逆に米側がQEからの「出口」を模索し始めると、「まだ続けてくれ」と言い出したのである。一体、どういうことなのか。
量的緩和縮小に反対
米QEの縮小の動きについてクレームをつけたのは中国の楼継偉財政相で、「(米国の)高い失業率を考えれば時期尚早」と内政干渉まがいの態度で臨み、「影響は米国のみにとどまらず、十分注意すべきだ」と厳しく注文した。