「ゲームの発想が生まれたらすぐに仕事にとりかかり、24時間ぶっ通しで働く人もいます。ゲームを作ることが好きなので公私の区別がなく、彼らにとっては負担にもなりません。会社よりも仕事への執着が強く、いつでも外に飛び出すし、毎年の離職率も非常に高かった」(スクウェア・エニックス元人事担当者)
離職者は低賃金の社員のほか、高額の給与をもらっている社員も含まれる。
■18時定時退社のIT企業も
ゲーム業界全体ではどうか。
「カプコンは成果を問われるが、入社後に段階的に給与が上がっていく仕組みで年輩者も多く、人を囲いこむ会社。一般的にゲーム業界は『給与は低くてもここで働きたい』という人が少なくない」(同)
キラキラ系ブラックは定期昇給がなく、仕事に給与が張り付く職務給型の賃金制度を導入している企業が多いが、ネット広告業もその1つ。ネット広告企業の人事部長は給与の仕組みについてこう語る。
「給与は年齢に関係なくばらつく。30歳で年収400万円弱の社員から800万円の社員、40歳で年収400万円の社員から1500万円の社員までがいます。例えば30代で年収600万円をもらっている社員はまずまずいます。ただ、年収600万円以上の価値を出せる仕事をする人があまりいないので、そこから年収800万円には到達しづらい」
人事部長自身はキラキラ系ブラックとは思っていないという。
「ブラック部署もあればホワイト部署もあります。ある部署はそれこそ夜の9時、10時まで働いて年収800万円を稼いでいる社員も多くいます。一方、定時に帰ることが許されている部署もある。そこにはマネジャーを除いて、40歳を過ぎても年収400万円の社員もいます。会社としては400万円の価値を果たし、本人がそれでよいと思うのなら追い出すつもりはないし、いてもらっても一向に構いません。考えようによっては夫婦共働きで夫が年収400万円、妻が年収400万円で世帯収入は800万円。しかも毎日6時に帰る。余裕のある生活ができるし、それも“アリ”だと思います」
キラキラ系ブラックに含まれるサービス業の中には、実はホワイトと呼べる会社があるのもわかった。長時間労働で書類送検されたドン・キホーテのグループ企業の中には「比較的ルーティン業務の多い会社ですが、社員のほとんどが定時に帰り、店舗の仕事とは真逆なので驚きました。ただし給与は30歳前後で400万円と安い」(大手人材紹介会社の転職コンサルタント)。