一方、キラキラ系ブラックより生涯所得が多いのが地味ホワイトだ。入社時は大手ホワイトと比べて給与水準は2割程度低いが、定期昇給があるので時間軸で見ると徐々に大手ホワイトに迫っていく。
「地味ホワイトは、地味で目立たないので学生や転職志望者には知られていないが、部品や特定の分野で国内シェア90%を占めるようなすごく儲かっている企業もある。競争にさらされず、残業も少ないゆったりとした風土であることが多く、辞める人も少ない」(同)
地味ホワイトとしては、経産省が選定する特定分野で高いシェアを誇る「グローバルニッチトップ企業100選」などの企業が1つの参考になる。
現場編 9割は限りなくグレー。定時上がり、共働きの選択も
キラキラ系ブラック●大手家具販売 30代
急成長の企業に人事職でキャリア採用。だが入社後は店舗配属が慣例で、毎日深夜残業
地味ホワイト●サービス業 40代
30代半ばで年収700万円、ボーナス以外に業績賞与も。労基署から是正勧告があり残業は激減
低賃金ブラック●化学メーカー 30代
30歳で年収300万円。経営者を含めて主要ポストはすべて銀行の天下りで、昇進できない
地味ホワイト●コンビニ 40代
30歳で年収550万円、本部の管理部門は土日祝日休み。意外とワークライフバランスがいい
■40歳過ぎ大手社員5%が精神不調
「御社はブラック企業、それともホワイト企業ですか?」と人事担当者に聞くと、「日本企業の9割はグレーではないか」といった回答が多数返ってくる。
大手住宅設備メーカーの人事担当者は「労働時間も短く報酬も高い、雇用も安定しキャリアを獲得できるホワイト企業なんてあるのでしょうか。若いときに多少無理して残業し、いろんな仕事を経験する下積み時代があるからその後の成長につながり、高い報酬やキャリアを獲得できるのです」と指摘する。
同社は大手ホワイトに入る企業だが、担当者は「超大手企業ほど報酬は高くないが、雇用も安定し、離職率も2%程度。モデル賃金でも給与は安定的に上がっていくし、入社後にうちより高い給料の会社よりも時間軸で見れば生涯賃金はよいでしょう」と言う。
大手ホワイトに共通するのは定期昇給があり、着実に賃金が上がることを示す標準労働者のモデル賃金があることだ。