自転車ラックつき路線バスは公共交通を変えられるか? レジャー用途にも期待 (2/4ページ)

日本中央バスの車内。このように自転車2台をしっかり固定でき、補助席1席ずつが使えなくなるだけで他の乗客への影響も少ない(日本中央バス提供)
日本中央バスの車内。このように自転車2台をしっかり固定でき、補助席1席ずつが使えなくなるだけで他の乗客への影響も少ない(日本中央バス提供)【拡大】

  • 榛東線の「自転車積載バス」。写真にあるように中型の低床式ワンステップバスだ(日本中央バス提供)

▽赤城山麓の急坂でリフト代わりになってくれる前橋駅発のバス

 自転車の積載が可能なバスは、北海道ニセコ町の「ニセコバス」や、滋賀県大津市の堅田駅~細川系統で江若交通が運行しているバスなど、すでに全国各地に存在する。関東一円に限っても、以下の各路線で利用可能だ。

 ・神奈川交通「自転車ラックバス」

 本厚木駅~宮ヶ瀬間の3路線。下り9便/上り8便など。外部ラックに自転車2台まで。追加料金100円。

 ・つくバス北部シャトル線「自転車積載バス」(茨城県)

 つくばセンター駅~筑波山口。下り15便/上り14便。外部ラックに自転車1台。

 ・日本中央バス「自転車積載バス」(群馬県)

 前橋駅~富士見温泉間(富士見温泉線)。一日10~14便ずつ。車内に2台

 前橋駅~上野田・桃泉間(榛東線)。一日5~10便ずつ。車内に2台

 ・東海バス「天城線サイクルラックバス」(静岡県)

 修善寺駅~河津駅間。一日10便ずつ。外部ラックに2台、車内に1台。

 このうち群馬県の日本中央バスの便は、1996年4月に日本初の自転車積載可能バスとして運行を開始したもので、先駆事例として興味深い。当時の背景としては、赤字による路線バスの民間運行の廃止があり、前橋市と近隣町村が廃止代替路線を日本中央バスに運行委託するに当たり、利便性を高めて少しでも利用者を増やそうと、「自転車も載せられるバス」を導入することにした経緯がある。

 というのも、とりわけ富士見温泉線は赤城山麓の長い坂道を登る経路で、自転車で移動するとなると下りは楽だが、登りは延々自転車を押して歩く労苦を強いられるからだ。その登りで自転車をバスに載せられるなら、前橋市への通勤通学がずいぶん楽になり、さらに夜間における女性自転車利用者の防犯対策にもなることが想定された。

 さらに特筆に値するのは、バス車内に車輪固定具を取り付けることで、富士見温泉線でバス1台に自転車5台、榛東線で自転車10台というまとまった台数の積載を可能にしたことだ。

クルマ社会の地方では高齢者と高校生が乗客の中心

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