別の事情として、例えば母子家庭で親が夜勤をしている場合、家に誰もいない場合があります。私自身が、そうでした。
しかし、親に愛されている感覚があれば、誰もいなくとも、安心する我が家に帰るものです。そのためには、言葉やスキンシップなどの具体的な形で伝える必要があります。親子間といえど、「以心伝心」とはいかないもので、努力が必要です。
その空気を演出するためのキーワードが「大好きだよ」です。親に心から愛されている感覚は、健全な自尊心を生み出します。これは、他の何を差し置いても最も大切です。
以上、子どもへの接し方をお伝えしました。
要は、「建前でなく、本音を伝える」という1点に尽きます。俗っぽいかもしれませんが、やはり伝えるべくは「愛している」ということなのです。
愛しているなら、思いは伝えても思い通りにしようとしない。愛しているなら、甘えさせても甘やかさない。
思い通りに動かすことも相手の要求通りに甘やかすことも、バランスの悪い両極端の行為であるとわかります。まずは本気・本音をきちんと伝えて、子どもの反応や変化についてはゆったりと楽しんで見守っていきたいものです。
(国立大学教育学部付属小学校教諭 松尾 英明)(PRESIDENT Online)