同大学で活躍した神野(かみの)選手も、箱根駅伝のインタビュー時に表現力を発揮。選手招集の際に「かみの」ではなく「じんの」と呼ばれたエピソードを語り、「これで“かみの”と覚えてもらえたでしょうか」と笑いを誘いました。あっけらかんと言ってのける姿は、これまでの駅伝選手の雰囲気とは、明らかに違うものでした。
陸上競技だけでなく、従来の運動部文化では、個性はあまり尊重されてきませんでした。軍隊かと思うような上下関係があったり、根拠のない精神論を押し付けたり、時には暴力もふるわれたりしました。練習中に水が飲めない、後輩はどんなに疲れていても、練習後に先輩へ何時間もマッサージを施さなければならない--そんな理不尽もまかり通っていました。私生活でも自由な髪形、服装が認められません。この歪んだ上下関係、環境こそが、強い選手を育てると認識されていたのです。
しかし、原監督が求めているのは、「感性や表情豊かな選手」。自分の言葉を持って表現できる選手こそ強いと考えるのです。
ビジネスの成功者が見せるべき器の大きさ
原監督は、営業マン時代に目標管理シートを活用したそうです。目標を設定し、その進捗を確認するシート。青学でもこの目標管理シートを導入し、選手らがグループを作って、その進捗をお互いに確認するようにしたのです。どんな小さな大会でも、目標設定やその到達を確認し、「自主的」に行動するよう促しました。