しかしまあ、若年の借家世帯の「家賃/年収」比がメチャ高であることに驚きを禁じ得ません。都市部ではほぼ半分。収入が少ないためですが、これでは実家を出ることができずに親にパラサイトせざるを得ないだろうな、と思います。その結果、未婚化が進行すると山田昌弘さんは『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書、1999年)で書いています。
状況は、過去に比して悪化しているのではないでしょうか。90年代以降の不況により、若者の収入は下がる一方で、家賃が下がっているという話はほとんど聞きませんから。国際比較でみても、若年世帯が住居費負担にこれほど苦しんでいる社会は、おそらく日本だけでしょう。藤田孝典さんが『貧困世代』(講談社新書、2016年)で書いているように、日本の住宅支援政策(公営住宅整備、家賃補助など)が貧弱であることはよく知られています。
こういう要因により、若者の自立(離家)が阻まれ未婚化が進行してしまう。消費も低迷し、社会の維持・存続が脅かされる事態にもなっています。「住」は生活の基盤ですが、この面の支援を、若年層に重点を置いて行うべきでしょう。
首都圏214市区町村の「家賃/年収」比マップ
最後に、都道府県単位からさらに細かく市区町村レベルのデータも見ておきましょう。首都圏(1都3県)の214市区町村について、同じやり方で借家世帯の「家賃/年収」比を計算し、マップにしてみました。市区町村レベルでは年齢層別のデータは出せませんので、借家世帯全体のデータであることに留意してください。
東京の都心の色が濃くなっています。都心は家賃が高いですから。都内港区の平均家賃月額は15.72万円、スゴイですねえ。私が引っ越した横須賀市(5.25万円)の3倍です。