仕事と生活の調和(ワークライフバランス、WLB)実現を主導し部下を育成する-。そんな管理職「イクボス」を育てていこうという「イクボス企業同盟」の加盟社が100社を超え、増え続けている。背景には、結婚・出産を機に働き方が変わる女性のほか、家族の介護などで制約を抱える社員が増えていることがある。しかし、当の管理職たちはまだ手探り状態のようだ。(石川有紀)
汗をかく管理職
「業務や勤務形態の違いでWLBへの認識度合いが違う」
「女性社員の家庭と仕事への配慮が難しく、指導しにくい」
企業同盟が10月に大阪市内で開いた研修会。金融機関やメーカーなど17社の管理職計約60人から出てきた声は、悩みと戸惑いに満ちていた。
しかし、求められているのは、多様な働き方や価値観を尊重しながら、社員それぞれが仕事できっちりと成果を出せる職場づくりのアイデアだ。12月の研修会では、一歩前進して参加者による2カ月間の取り組みが発表された。
部下との一対一での対話やランチミーティングを通じ相互理解を深めた結果「部下の意欲が向上した」という企業もあった。一方で「午後5時に部署の対話会を企画したので、4時に仕事を終えてケーキを買いに走った」とか「世代間ギャップを超えた一体感醸成のため、ピンクレディーを踊った」など迷走気味の「イクボス」もいた。