ところが、今年はやや事情が異なる。野村証券、花王など17企業がこの夏、「学びの一環」として1カ月超のインターンを試み、全国11の国公私立大・高専から1、2年生の約70人を受け入れた。
一方、外資系を中心にユニークな事例も増えている。人材サービスのアデコ(東京都港区)や家庭用品のプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン、神戸市)はそれぞれ「勝ち抜き型」プログラムを実施し、優勝者がグループの国際大会で海外の学生と競うグローバル企業ならではの趣向を凝らす。アデコは親会社が就労機会に恵まれない若者にエンプロイアビリティー(雇われる能力)を身に付けさせる活動を世界規模で展開しており、「働くことへの『気付き』を与える場」(川崎健一郎社長)を提供した。
これらは採用一辺倒な流れと一線を画し、企業に求められる多様な人材の育成にもなり、インターンが新たな局面に入ったことをうかがわせる。採用につなげる是非をめぐり国が検討会を設けてまで議論を始めたのもその表れで、採用現場の実態と乖離(かいり)するインターンの定義づけを再考する時期を迎えている。(鈴木伸男)