インターンシップ、新卒の「採用ツール」に定着 内定直結には異論も (2/3ページ)

野村証券が今年初めて実施した長期型インターンシップの最終日に、同社社員にプレゼンテーションする学生=9月、東京・大手町
野村証券が今年初めて実施した長期型インターンシップの最終日に、同社社員にプレゼンテーションする学生=9月、東京・大手町【拡大】

 採用活動の短期化には企業への学生の理解が深まらないなど懸念も強い。この結果、ミスマッチ防止や優秀な学生の確保に、「インターンを通して学生と早期からの接点づくりに注力する企業も少なくない」(アイデム)。半面、文部科学省、経団連や大学は採用に直結するインターンは認めず、選考の場としたい中小企業などとの溝を深めている。

 文科省と厚生労働省、経済産業省がインターン促進に向けて7月に設けた検討会でもこの点が焦点となっている。いまや主流の「ワンデー(1日)」と呼ばれる短期型のインターンは採用に直結し、学生の職業観育成や将来のキャリア教育を重視する大学としては好ましくない。しかし、文科省が全国776大学を対象にした調査(15年8~9月実施)で、大学が単位認定するインターンに参加した学生数は全体の2.6%に過ぎず、過熱する就職活動とのギャップは大きい。それだけ現実を直視した学生が採用直結型を選び、企業に直接応募する姿がうかがえる。

 “長期型”も選択肢に

 欧米の場合、インターンの歴史は長く、2~3カ月の長期型で報酬を支払うのが一般的で、採用にも密接に結びついている。短期型が主流で採用選考にたがをはめる日本とは大きく異なる。学業を優先し、1、2年生での体験が職業感を醸成するとはいえ、企業がコスト負担も重い長期型に二の足を踏んできたのも事実だ。

外資系を中心にユニークな事例も増えている