≪睡眠環境≫
鹿島は、病院の相部屋に入院する患者に対し、睡眠環境を向上する技術を構築した。ナースコールの減少により医療スタッフの業務負担が軽減するなどのメリットが見込まれる。
鹿島は、不眠を訴える患者が自宅で過ごすような室内環境を病室でも実現しようと、病室の設計から解決策を検討。東北大大学院医学系研究科の尾崎章子教授と共同で、相部屋における環境や患者の睡眠状態の実態調査を実施し、「温熱」「音」「光」の3要素が睡眠に影響を与えることが分かった。また、東京睡眠医学センター長の遠藤拓郎医師の監修で、3要素の影響を検証する被験者実験を行い、生理面や心理面からより良い睡眠が得られる環境を構築する技術を確立した。
温熱環境では、天井付近の空気をベッド上に送風する室内送風装置を開発し、ベッドごとに送風の入り切りや風向きを調節できるようにした。
音環境では、ベッドの中央に低音から高音まで幅広い周波数を持つブラウンノイズを適度な音量で発生させるスピーカーを設置。周囲で発生する話し声などの雑騒音が緩和できる。
光環境では、病室の窓の上部から入る光を天井面に反射させるライトシェルフを窓面に設置し、廊下側のベッドまで自然光を導くなど、病室全体に昼間の光を採り入れることができる。
鹿島は今後、医療施設の建設や既存の病室の改修などで、これらの技術を提案していく。