一方、オリックス銀行(港区)が昨年11月から販売する「かんたん相続信託」は、電話と郵送で申し込める通信販売型。信託銀行の店舗は大都市に多いため、地方に住む人や高齢で店舗に出向くことが難しい人には便利だ。委託者が亡くなった際は、電話で支払い請求書を取り寄せ、死亡診断書や受取人の本人確認書類などを送付。受取人本人であることが確認できれば、5営業日以内に信託金が一括で振り込まれる仕組みだ。
契約件数急増
遺言代用信託の契約件数は、ここ数年で急増している。信託銀行などでつくる一般社団法人、信託協会の調査によると、平成21年度はわずか13件だったが、商品数が増え始めた24年度から増え、27年度末には13万件を超えた。取り扱う銀行の増加や、昨年1月の相続税の最低課税額引き下げに伴い、相続への関心が高まったことなどが背景にあるという。
八ツ井さんは「高齢化で相続に関連する金融商品のニーズは今後も高まる。自身や家族に適したものを選ぶにはそれぞれの特徴を知ること、家族と話し合うことは大切」と指摘。「配当や利回りなどの条件だけでなく、相談にきちんと応じてくれる安心感も重視して」と話している。