そこで、関西学院大学でマーケティングを教えているとか、かつてアマゾンやマスターカードといった有名企業でマーケティングを担当していたという実績を、自分を信頼してもらうための理由づけとして使っている。
じつは価格も「信じてもらう理由」の一つだ。消費者は、安い価格のものは価値が低いと考えやすく、逆に価格の高いものは、それだけで価値が高いと考える傾向がある。つまり価格が高いことが、消費者に「この商品は品質がいい」と信じさせる根拠の一つになるのである。
もちろん、価格が高いからといって本当に品質がいいとはかぎらない。しかし、人はある際立った特徴に影響を受けて、本来なら関係のない他の要素まで高く評価してしまうことがある。このことを心理学用語で「ハロー効果」という。
ハロー効果は、ネガティブな面でも表れる。値下げが危険だと私が主張するのも、「安いのだから価値も低いはずだ」という逆のハロー効果が働きやすいからだ。
たくさん売りたければ、むしろ価格を高めに設定すべきである。東京・新宿に「ケンズカフェ東京」という洋菓子店がある。