麻酔薬を使い、出産の痛みを抑える「無痛分娩(ぶんべん)」。「産みの苦しみ」を重んじる文化に加え、正しい知識が妊婦や家族に届かず、日本ではなかなか普及していない。だが、無痛分娩は産後の回復が早く、高齢出産のリスク軽減などメリットも大きい。(油原聡子)
北里大学病院(相模原市南区)では、年間約1千件のお産を扱う。帝王切開をのぞくと7割前後の妊婦が無痛分娩で出産している。
無痛分娩で多く使われるのが硬膜外鎮痛法(硬膜外麻酔)だ。脊髄の外側にある硬膜外腔に細い管(カテーテル)を入れ、局所麻酔薬と医療用麻薬を入れる。麻酔薬は薄めてあるので、痛みを感じる知覚神経は麻痺させるが運動神経には、ほとんど影響がない。子宮が収縮する感覚は残り、いきむことができる。