ボランティアも強力な一員。生活支援サポーター「絆」のメンバーは38人。花戸医師から「あそこのおばあちゃんが心配なんだけど」と言われれば話し相手に出向く。話し相手は無料で、病院などへの送迎は1キロ15円だ。
代表の川嶋冨夫さん(66)は「買い物代行もできるけれど、しゃべらんことにはコミュニケーションにならん。一緒に買い物に行けば、車の中でも、買い物しながらでもしゃべれる。認知症の軽いときに外へ誘ったり、家で3、4回も同じ話を聞いたりは、先生たちにはなかなかできん。われわれでないと」と言う。
「絆」は、この地域でもコミュニティーが薄れてきた危機感から結成された。同市の社会福祉協議会が「生活支援サポーター養成講座」を実施したのを機に、参加者らが「誰かがやらんと(地域は)戻らんのと違う」とスタートした。民生委員でもある川嶋さんは「民生委員が出向くと大ごとだが、絆のメンバーとしてなら助け合いで声を掛けられる。民生委員の仕事もしやすくなった」と話す。
花戸医師は「コミュニティーは中山間地でも希薄になりつつある。家族やご近所を交えたチームをつくることが安心して暮らすことにつながる。在宅医療は地域づくり。地域で医療を行うというだけでなく、医療を通しての地域づくりができればと思う」と話している。