だが、並行して肥満が増えていったため、米国では研究も進んだ。「高果糖シロップを与えたラットは、高脂肪食を与えるよりも体重が増え、中性脂肪も多くメタボになった」(プリンストン大学)、「成人の脳機能を画像診断で調べたところ、ブドウ糖の摂取後、15分以内に食欲が減少したが、果糖では減少しなかった」(エール大学)など、果糖の取り過ぎが生活習慣病につながるという推論を裏付ける結果が出てきた。
日本肥満学会の徳永勝人評議員は「果物には繊維や他の栄養素も含まれるので果糖の吸収は緩和される。高果糖シロップのように果糖を直接取り込むと、肥満や糖・脂質・尿酸の代謝異常、高血圧とメタボの症状になりやすい」と指摘する。
食品の成分に注意
日本人による研究も盛んになってきた。京都大大学院医学研究科の仲川孝彦・特定准教授らはスペインの大学との共同研究で、成人男性に1日200グラムの果糖を2週間摂取してもらったところ、血圧上昇や中性脂肪の増加をはじめ、糖尿病につながる血糖値を下げるインスリンの効き目が悪くなる(インスリン抵抗性)といったメタボの兆候が表れた。