ただ、ブドウ糖は血糖値を上げてしまうものの、脳の満腹中枢に働いて食べ過ぎを防ぐという面もある。ところが、果糖には食欲の抑制の仕組みがない。このため、「肝臓で余った果糖は脂肪になって蓄積し、脂肪肝などにつながる」といった指摘は従来あった。
その不安が顕著になったのは、果糖を多く含み、清涼飲料水などに多く使われる高果糖コーンシロップ(高果糖ブドウ糖液糖)との関連が示されてからだ。高果糖コーンシロップは、トウモロコシのデンプンに含まれるブドウ糖を酵素によって果糖に変えて含量を増やして異性化糖にし、甘味を強めることができる。安価で大量生産ができることから、1970年代、キューバ危機で砂糖不足になった米国を中心に需要が拡大した。