実物大?の「宇宙ステーション」、一体数百万円の「ちょんまげ人形」、一度も使われたことのない「燻蒸(くんじょう)庫」…。581億円を投じたものの「無駄遣いの象徴」と批判を浴び、オープンからわずか7年で閉館した勤労体験施設「私のしごと館」(京都府精華町、木津川市)。国から無償譲渡を受ける見通しになったことを踏まえ、京都府は12月の定例府議会で活用策の最終案を提出する方針だ。地域に開かれた研究開発拠点などを目指し、ネーミングライツ(施設命名権)の導入も検討する。しかし、山田啓二府知事が「あれもいらん、これもいらん」と驚いたほど、痛々しいまでに無駄に広大で豪華な施設を再生できるかどうかは未知数だ。頓挫すれば府にとって新たな重荷になりかねない。
「金属欲しい人には売れるわな」
「私のしごと館」は、厚生労働省所管の独立行政法人雇用・能力開発機構が設置し平成15年にオープン。同機構や委託会社が運営していたが、22年に閉館し、その後同機構も廃止された。
こうした経緯をたどる施設だが、入場するやいなやまず目に飛び込んでくるのは、エントランスホールに近い旧「しごとシアター」だ。
吹き抜けの建物にある高さ10メートルはありそうな円筒形の華麗な劇場は、中高生ら若者が職業を学ぶために、果たしてどこまで役に立ったのか。