日本企業で働きたい…留学生、就活に戸惑いも グローバル化で採用競争激化
人手不足や海外展開の人材確保のため、国内の大学などで学ぶ優秀な外国人留学生を採用しようと企業の競争が激しくなっている。経済成長するアジアなどに活路を見いだし、グローバル化を急ぐ企業が留学生の採用に手を伸ばす。高い技術力を持つ日本企業で働きたいと望む留学生は多いが、独特の就職活動に戸惑う人もいる。
戦力
「留学生は貴重な戦力だ」。人材派遣大手パソナが今月、都内で留学生向けに開いた合同企業説明会で医療機器大手の人事担当者は話す。
説明会には2日間で企業32社、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などの留学生約1900人が参加した。企業の半数近くが初出展だ。医療機器大手の担当者は「海外の法律に関わる業務が多いので、それらの言語に精通している社員が求められている」と説明する。しかし計画した人数を採用できない年が続いており、今年は留学生対象の就活イベントへの参加回数を増やす計画だ。
大幅増
留学生の採用について全国の企業を調べた就職情報会社ディスコ(東京都文京区)によると、回答した企業のうち採用を見込む企業は2014年度の48.4%から17年度は59.8%と大幅に増えた。
金融機関大手の人事担当者は「留学生の多様な価値観がなければこれからの時代を勝ち抜けない」と強調した。毎年数十人規模で採用しており、日本人の新卒と区別せずに国内の支店などに配属する。その後、本人の強みや適性に合う仕事に振り分けるという。
合同企業説明会では、新入社員の定着率の良さや充実した福利厚生を留学生にアピールする企業が目立った。
疑問
中国出身の文京学院大3年の女子学生(21)は、両親は中国での就職を望んでいるが「日本企業は中国企業に比べて安定感があり信頼できる。終身雇用も魅力的だ。日本で働きたい」と話した。
日本企業の多くは新卒を一括して採用する。経団連の指針では会社説明会は3月に解禁され、面接などの選考は6月に始まる。学生は履歴書を提出し、適性検査や面接を受ける。学生が企業文化に合うか、幹部候補生としてふさわしいかを判断するため、企業は何度も面接して慎重に見極めるのが特徴だ。
とはいえ、初めて日本の就活に臨むこの女子学生は「繰り返し面接する必要があるのか」と疑問に感じている。
昨年9月に早稲田大大学院修士課程を修了した、台湾出身の張宏宇さん(28)も「海外企業ならインターネットで登録してすぐ面接だが、日本はそうでない。就活の期間も長い」。それでも「異文化の中で挑戦したい。日本の自動車関連企業で働きたい」と力を込めた。
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