リケジョも就活は楽じゃない? 採用ニーズ高いはずでも本音は「厳しい…」

 
リケジョが一番、就職活動を厳しいと感じている

 近年、女子学生の採用に力を入れる企業が増えてきています。なかでも理系の女子学生(リケジョ)の採用ニーズは高まっています。就職氷河期を脱した数年ほど前からリケジョブームが到来し、女性活躍推進法の後押しもあって、多くの企業から熱い視線が注がれているのです。

 しかし、当社が就職活動中の学生に就活の感触を尋ねたところ、「厳しい」と感じているリケジョは半数を超え、理系男子や文系男女と比べて高いという結果でした。なぜ、ブームにもかかわらず、リケジョには就活が厳しいと感じる人が多いのでしょうか。

 「リケジョ」と言ってもさまざまな専攻があります。例えば、機械・電気といった工学系の学生は、企業からの推薦枠も多く、特にメーカーからの需要は高くなっています。また、最近では、土木系の女子学生が「ドボジョ」という愛称で建設業界から注目されています。こういった分野は、企業の採用人数に対して学生数が少なく、就活において有利といえるかもしれません。

 一方、生命・化学といった理・農学系などは、必ずしも有利というわけではないようです。理学、農学を中心としたリケジョが、就職活動前や初期に志望する業界・職種で人気が高いのは、医薬品や化粧品、食品などのメーカーの研究・開発職です。しかしこういった求人は、採用枠が狭い上、高い専門性が求められるため、学生時代の研究テーマとのマッチングが難しいことも多いのです。このように、業界によっては専攻を生かした就職が厳しいこともあります。

 企業側はというと、多くが研究・開発職のような理系職種に限らず、営業や企画職、IT技術職を含めた幅広い職種でのリケジョ採用を検討しています。そのため、就職活動中盤で、職種を見直すリケジョが実は多いのです。実際、7月1日時点で就職活動を継続している学生への調査で、「職種の見直しをする」と回答したリケジョは40%に上り、全学生の平均より12・4ポイント高いという結果でした。

 筆者自身もいわゆるリケジョで第1志望は研究・開発職でしたが、途中で志望業界・職種を見直した経験があります。就職活動を終える同級生が増えていくなか、職種を見直して新たな企業を探すのは、大変つらいものでした。

 理系の人が文系職種で就職すると、学生時代に学んだことが無駄になってしまうと考える人もいるかもしれません。しかし、直接的に知識や経験を生かせなくても、これまで培った論理的思考や課題解決力は、文系職種でも十分に活用することができます。

 リケジョの人は、専攻分野や職種にこだわりすぎず、少し広い視野で企業を探してみても良いかもしれませんね。(キャリタスリサーチ 平川絵理佳)

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