貯蓄1億円を目指す家庭はやはり違う 「非の打ちどころがない」
提供:PRESIDENT Online▼宮尾家の家計簿
家族構成 夫(45歳・建設会社勤務)、妻(43歳・派遣社員)、長男(14歳)、次男(12歳)、長女(7歳)
年収 額面=890万円/手取り=774万円 月収 手取り=夫38万円、妻17万円
ボーナス 夏=57万円/冬=57万円) 貯蓄額 2200万円
たくさんの家計相談を受けていると、なかには「非の打ちどころがない」といいたくなるようなケースに出くわすことがあります。
宮尾さんの家計簿もそんな一例。人生90年を前提にしており「持ち家は欲しいが年金生活に入る前に現金一括払いで購入すればいい」「老後のライフプランが固まるまでは賃貸で十分」との考えを持っています。
子供の教育について「学校に通っているのだから、そこで一生懸命やれば十分」と割り切っている点も大きな特徴。教育費と老後資金はトレードオフの関係にあるだけに、この決断は重要です。
たとえ子供が「もっと高度な教育を受けたい」といい出しても、蓄えがあるのである程度は応えてあげられるでしょう。
また、現在の貯蓄額2200万円のうち500万円は流動性資金として普通預金にしていますが、1700万円はリスクヘッジしながら株、債券、投資信託などへの投資もしています。今後のインフレリスクなどを考えれば、手堅い選択です。「貯蓄1億円を目指す!」と明確な目標のある家庭はやはり違います。
一方、宮尾さんの家計簿を裏返して見れば、そこにダメ家計簿となる要因が潜んでいることがわかります。でも、ベストとはいえないまでも、いずれも毎月貯蓄できる家計に改善することには成功しました。広く真似のできる考え方も多いので、ぜひ参考にしてください。
【1】教育費
▼理想家計簿
子供3人分の給食費と必要な教材費くらいしか支出なし。老後資金を優先させ、教育は学校がすべてと割り切る。
▼ダメ家計簿
・教育費は“聖域”と位置づけ、分不相応にお金をつぎ込む。
・通っていない塾や習い事にお金を払い続ける。
【2】被服費
▼理想家計簿
洋服はふだんは新たに購入しない。半年に1回、ボーナスの中から5万~6万円を使ってまとめ買い。
▼ダメ家計簿
・外出するたびに買い物しがち。しかもその外出が頻繁で、食費や生活用品、娯楽費、交際費も膨らみがちに。
【3】収入(妻)
▼理想家計簿
妻は、子供の出産や育児期には時短勤務などで働き、仕事を完全に辞めることがなかった。
▼ダメ家計簿
・将来の資金準備が十分でないのに妻が専業主婦。
・共働きだと夫婦別財布になっている。
【4】毎日の差額
▼理想家計簿
妻の収入は全額貯蓄する習慣を続けてきたが、夫の収入アップとともに、それ以上の貯蓄が毎月可能に。また、比較的妻のほうが家計管理には熱心だが、情報をオープンにしているので、貯蓄を優先することには夫も納得している。
▼ダメ家計簿
・家計が赤字になると貯蓄を崩して補う。
・夫婦のコミュニケーションが欠如し、お金に関する情報共有ができていない。
【5】住宅費
▼理想家計簿
貯蓄がある程度あっても、安易に家を購入しない。老後資金などとあわせて計画。
▼ダメ家計簿
・ボーナスをあてにして住宅ローンを組む。
【6】食費
▼理想家計簿
家にあるものをある程度まで使い切ってから、まとめ買い。冷凍庫もフル活用。
▼ダメ家計簿
・毎日買い物に出かけ、無駄遣いが絶えない。
・宅配サービスの定期便を利用。
【7】自動車関連
▼理想家計簿
マイカーは所有せず、近場はカーシェアリングを利用し、遠出はレンタカーを利用。
▼ダメ家計簿
・1台あれば足りる場合でも、夫婦で1台ずつ所有している。
・家計が赤字なのに惰性で所有している。
【8】小遣い
▼理想家計簿
夫婦の小遣いは、それぞれ手取り月給の1割とルール決め。小遣いが欲しい夫は、給料アップに励むという仕掛け。
▼ダメ家計簿
小遣い制をとっていないため、個人用途の予算を立てられない。
本来小遣いの中から支払うべきものを、家計の別の費目に計上し、ブラックボックス化を生じさせる。
子供に求められるたびにお金を与えてしまう。
【9】支出合計
▼理想家計簿
支払いは現金払いが基本。クレジットカードは使わない。
▼ダメ家計簿
クレジットカードを多用するなど、借金をすることにためらいがない。
家計再生コンサルタント 横山光昭
マイエフピー代表取締役社長。庶民派ファイナンシャル・プランナーとして、8000人以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズなどベストセラー多数。
(アドバイス=家計再生コンサルタント 横山光昭 構成=小澤啓司)
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