子犬からOK! 手軽に「レンタル犬」 飼えなくても触れ合いたい

 
横浜トリミングスクールでレンタルしているトイプードルを抱く職員。気軽に動物と触れ合えると人気だ=横浜市港北区

 人の心に寄り添い、癒やしてくれるペット。だが、住んでいるのがペット禁止の集合住宅だったり、共働きで世話ができなかったりして飼えないという人も少なくない。そうした人向けに、好きなときに好きなだけ、手頃な費用で犬をレンタルできるサービスがあり、人気を集めている。(櫛田寿宏)

 「もっと一緒に」

 横浜市鶴見区の男性会社員(37)は、犬のレンタルサービスを利用し、小学生の長男、長女のためにチワワを1時間借りた。サービスを利用するのは3回目。「ペットを飼うことができるマンションに住んでいるが、仕事が忙しくて毎日世話をする自信がない。費用も手頃でいいですね」と話す。2人の子供たちは「かわいらしくて、とても楽しかった。また遊びたい」と声をそろえた。

 レンタルサービスを行っているのは、犬の手入れをするトリマーを養成する横浜トリミングスクール(横浜市港北区)。この業界の草分け的存在だ。

 借りるには、まず身分証を提示して会員になる。入会金は540円だ。生後3カ月の子犬から7、8歳の成犬まで約40匹を貸し出している。いずれもきちんとしつけをしてあり、手入れも万全。リードと排泄(はいせつ)物を入れる袋、おやつとして与えるドッグフードもセットになっている。

 料金は1時間540円、1日(午前9時から午後4時半)で2160円。2日分の料金を払えば、家に連れて帰って宿泊も可能だ。

 「人と人の間に犬がいるだけで雰囲気が和みます」。同スクール代表の篠崎紘一さんによると、家族連れや若いカップルの利用が多く、犬と一緒に横浜市内の公園や観光名所の散策を楽しんでいるという。

 近年は、小型犬をペットとして飼う若い女性が増えており、価格が高騰。人気犬種のチワワの場合、10万円以上はする。食事代やトリミング代などを含めると、「毎月2万円以上はかかる」(篠崎さん)といい、手頃な価格でかわいい犬と触れ合えるレンタルのニーズが高まっている。

 ただ、レンタルした犬がけがをしたり、ひどく汚れたりしないよう、注意事項を守る必要がある。

 双方にメリット

 同スクールがレンタルサービスを始めたのは約10年前。スクールでは生徒のトレーニング用に多くの犬を飼っている。「散歩をさせてほしい」という近隣住民の要望がきっかけだった。

 当初は無料だったが、口コミで利用者が増えたため、7年前から有料の会員制に。現在は約千人が登録する。散歩日和の晴れた日には、40匹すべてがレンタルされることもあるという人気ぶりだ。

 一緒に旅行にも

 東京都足立区の「わん泊ランド・パートナーワン」では12匹の犬をそろえている。特にトイプードルやポメラニアン、ヨークシャーテリア、マルチーズの人気が高い。代表の出口誠さんによると、店の近くの荒川の河川敷で散歩を楽しむ利用者が多い。

 「気に入った犬を指名するリピーターも少なくない」と出口さん。最近はペット同伴で宿泊できるリゾートホテルが増えている。キャンプに連れて行く人もいて、同店でレンタルした犬と一緒に旅を楽しむ利用者もいるという。

 子供の夏休みに合わせて1カ月レンタルするケースも。出口さんは「犬と触れ合うことは、楽しいだけでなく、子供の情操を豊かにしてくれます。命の大切さを学ぶ機会にもなりますよ」と話している。