好条件狙い再挑戦 既卒採用も増加

 
就職支援会社のサポートを受ける既卒の就活生たち=4月、東京都新宿区の「UZUZ」

 今春卒業した大学生の就職率が過去最高となった一方で、仕事が決まらないまま卒業し就職活動を続ける人も少なくない。そこで注目を集めているのが既卒者をサポートする就職支援会社。企業への紹介のほか、実際の仕事体験を通じて働くことへの意欲を高めるなど再挑戦に一役買っている。

 支援会社「UZUZ」(東京)の研修室。都内の私大を卒業した男性(22)が4月上旬、緊張した面持ちで電話回線の変更を勧める営業の電話を個人にかけ続ける。

 相手の反応はさまざまで、支援会社の社員は「話を続けるか終えるかは相手の反応を見ながら臨機応変に決めるといい」とアドバイス。男性は「顔の見えない相手の声色でどんな人なのか想像でき、丁寧な言葉遣いが身に付いた」と話す。

 男性は5社の面接を受け、うち1社から5月に内定が出た。「営業職が希望。じっくり仕事を探したい」と、より条件が良い会社を探して8月まで就活を続ける予定だ。

 同社の社員は全員、男性のように就職先が決まらないまま大学を卒業したりした経験があり、自身の体験をもとに、就職できなかった理由などを整理し、マンツーマンで支援できるのが特徴だ。

 今村邦之社長によると、就職が決まる既卒者は2014年度の約220人から15年度は約300人に。16年度は約500人を見込み「労働人口の減少で新卒だけでなく既卒者の採用が増えている」と話す。

 内定を得ても辞退して卒業し、再び就活を始める既卒者もいる。都内の私大を卒業した女性(22)は大手の美容関連企業の内定があったが、給与が出来高制で最低賃金を下回りかねないことを知り入社直前に辞退。「既卒でも受け入れてくれる企業が一社でもあればうれしい」と語る。

 採用コンサルタントの谷出正直さんは「人材不足で企業は20代のやる気のある人を求めている。既卒というマイナスイメージを持つことなく、優秀な人材を獲得し育成していこうと、人物本位の採用をする企業が増えてきた」と話している。