多様化するタクシーサービス 墓参り付き添い、塾の送迎も
買い物や墓参りに付き添ったり、学習塾に通う子供の送迎をしたり、タクシー会社のサービスが多様化している。公共交通機関の整備や人口の減少で需要が縮小する中、「送迎プラスアルファ」のサービスを提供している。上手に活用すれば、生活の利便性が高まりそうだ。(中井なつみ)
プラスαで勝負
タクシー業界は、年々需要が減少していることに頭を悩ませている。タクシー会社などが加盟する一般社団法人、全国ハイヤー・タクシー連合会(東京都千代田区)によると、平成24年度のタクシーの輸送人員は約16億4千万人で、40年前に比べ半減した。同連合会の担当者は「人口減少や自家用車の普及に加え、鉄道やバスなど公共交通機関が便利になり、タクシーの需要が減った」と説明する。
生き残りをかけ、10年ほど前から他の交通機関にはない「プラスアルファ」のサービスを模索する動きが広がってきたという。
便利に活用
東京23区内を中心に営業する日本交通(同区)は23年から、所属する約7千人の運転手のうち、高度な運転技術や専門知識のある運転手約150人を選抜した「エキスパート・ドライバー・サービス」を導入した。
介護職員初任者研修を受けた運転手が、高齢者の買い物や通院、墓参りなどに同行する「サポートタクシー」や、子供の応急手当てを学んだ運転手が乗務する「キッズタクシー」などを運行している。
サポートタクシーは、目的地までの送迎だけでなく、百貨店での買い物に付き添い、「孫にプレゼントを買いたい」という客の品物選びを手伝ったり、お墓参りでは掃除をしたりする。キッズタクシーは、学校から学習塾などへの送迎のほか、子供が1人で飛行機に搭乗する場合、運転手が搭乗口まで見送る。車内だけでなく、車外でも顧客の要望に対応する。
同社の大橋康弘グループ統括部長は「高齢者のいる家庭や働く母親から想像以上の反響があった。輸送だけでなく、生活支援サービスとして活用できることを広めたい」と話す。
料金は定額制で、最低料金が5270円(1時間以内)。以降は30分ごとに2420円が加算される仕組みだ。
定額でお得に
空港やレジャー施設などへ定額運賃で送迎を行うサービスも好評だ。
都内を中心に営業する日の丸交通(文京区)は、羽田、成田の両空港や、東京ディズニーリゾートへの定額送迎サービスを提供している。対応するエリアは東京23区(羽田空港へは一部除外)と武蔵野、三鷹の両市。いくつかのエリアに分けて料金設定をしている。通常のタクシー料金よりも安く利用できる。
同社によると、早朝や深夜など公共交通機関の便が悪いときや、荷物が多いときに利用する人が多い。同社の担当者は「渋滞でもメーターを気にしなくていいので安心と、好評です」と話す。
京都市に本社を置くエムケイが、京都や大阪、福岡、東京など全国8拠点で、最寄りの空港への定額送迎サービスを行っている。
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