経済インサイド

地銀が管理厳格化、外国人の口座売買を防げ (2/3ページ)

 日本は国際組織「金融活動作業部会」(FATF)による資金洗浄対策に関する審査を秋に控えており、対応が金融業界共通の重要な課題になっている。地銀各行が対策を進めるのは、金融庁が昨年2月、対策強化を求めるガイドラインを出したのを受けたものだ。3メガバンクも同様の取り組みを進めている。

 ベトナム人増加

 背景にあるのが外国人留学生や技能実習生による口座売買の横行だ。生活費を稼ぐため、または帰国時に不要となった給与振込口座を小遣い稼ぎの感覚で転売する人も少なくなく、犯罪集団に流出している。

 最近は特にベトナム人の銀行口座が増加している。警察庁の調査では、不正送金の一時送金先として2018年に把握した562口座のうち、名義人の国籍はベトナムが実に62.8%を占め、日本が14.8%、中国が13.3%と続く。以前は圧倒的に多かった中国人口座とは既に逆転した。

 不正口座は在日ベトナム人がよく利用する会員制交流サイト(SNS)を通じて“流通”している。1口座当たり数万円で取引されるといい、1人で複数の口座をつくって売りさばいていたケースもあった。

 このため、金融業界ではベトナム語や中国語のチラシで「口座の売買は違法です」と呼びかける動きも出ているが、地道な取り組みがどこまで奏功するかは見通せない。

 単純労働の裏口

 「ほとんどの外国人顧客は真面目にやってくれている。(口座を転売してしまう)一部の人たちをどう確認するのかが課題だ」

 他行に先駆けて口座管理を厳格化した北洋銀行(札幌市)の担当者は、こう強調する。昨年10月、在留期間を過ぎた場合は強制解約ができるようにする文言を預金規定に加えが、まだ実際に解約したケースはないという。

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